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2012年12月04日

社長メッセージ:セスキプラス発売によせて

このたび、酵素入りのセスキ炭酸ソーダ洗剤「セスキプラス」が新発売となりました。この洗浄剤はこれまでの界面活性剤やアルカリのみの洗浄とは根本的に違う、画期的な洗浄剤であると自負しております。

石鹸からアルカリ、そして酵素

弊社は洗濯用石鹸を取り扱っています。石鹸は生分解性がよく、汚れ落としの力も強い優れた洗浄剤です。しかし、「着たから洗う」が主流の今日、軽い汚れに対応した洗濯用洗剤が必要なのではないか。石鹸は環境に優しい洗浄剤ですが、油脂を原料とする有機化合物であるため使いすぎればやはり環境への負荷も高まります。

こうした思いから、石鹸や合成洗剤がなかった時代の洗剤として使われた灰汁=アルカリ剤を再び洗濯の主役へと進化をさせ、アルカリ洗濯用の洗剤としてセスキ炭酸ソーダや炭酸ソーダをご紹介したのは今から12年前の2000年のことでした。お陰さまで、手軽で環境にも優しいアルカリ洗濯は多くの方々に支持していただき、日常の洗濯に取り入れられるようになってきました。

しかし、アルカリ剤は穏やかに洗浄を行うため基本的に漬け置きが必要となり、また、アルカリ洗濯をパワーアップし短時間で洗える「過炭酸ソーダ洗濯」においても40度程度のお湯が必要ですので、ライフスタイルが多様化するなかでアルカリ剤だけをご紹介し続けることに限界があるのではないだろうか…。これらを解決することが新たな課題でした。そしてそれらを解決できるひとつの答えとしてたどり着いたのが「酵素」でした。

洗剤への酵素の利用が本格化したのは、1979年日本ではじめてアルカリプロテアーゼを配合した洗剤が発売されてからです。耐アルカリ性、耐熱性に優れた酵素が開発されるとともに、多くの洗剤に配合されるようになりましたが、洗剤の性能を向上させたり製品の付加価値を高めるための添加剤として配合されています。当社の新しい洗剤は、酵素を添加剤としてではなく主剤として、酵素の特性を最大限に生かすことを目指しました。いろいろと調べていく中で、洗剤用酵素に優れた技術を持つ北欧のメーカーから、アルカリ領域や低温で高い酵素活性を有する酵素を入手することになり、その中から特に優れた4種類の酵素を配合しました。

酵素は、主に枯草菌などの微生物を培養して取り出すことにより製造されます。そして、酵素は汚れを分解するために過剰な熱やエネルギーを必要としませんし、副生成物もできません。また、使用済みの酵素はバクテリアによって容易に分解され、環境を汚染する心配もありません。さらに注目したのは驚異的ともいえる酵素の分解能力です。例えば、アミラーゼは1gででんぷん5トンを15分で分解し、ペプシンは1gで牛乳2000リットルのたんぱく質を15分で分解してしまいます。これらの反応は過度なエネルギーを必要とすることなく、常温常圧下で行われしかもその反応速度は受容体によっては100万倍もの速度で分解されます。

ますます環境負荷の少ないモノ作りが求められる今日、生物の持っている機能を生かし、それを古来の灰汁洗い(アルカリ洗浄)と融合させることで、さらに地球環境に優しい洗剤になることを確信しています。

酵素について詳しくは、ただいま当サイト石鹸百科のコンテンツとして準備を進めていますので、概要を以下に記します。


洗剤用酵素について

1913年に、ドイツのO.ロームが動物の膵臓(すいぞう)抽出物を洗濯に応用する特許を出願し、これが洗剤へ酵素を配合するスタートとなりました。1960年にはタンパク質分解酵素「アルカリプロテアーゼ」がデンマークにて開発され、これをきっかけに酵素入り洗剤は大きく発展することになります。ところが、1967年、飛散した酵素粉末を吸いこんだ工場作業員や消費者に呼吸器疾患が発生。酵素入り洗剤への不安が高まり、生産や販売も中断される事態になりました。

しかし1971年には粉末の酵素を「粒(つぶ)」に加工する技術が確立され、空気中に飛び散る心配はなくなりました。一方で、産業界とはつながりを持たない科学者らによる国立調査審議会が米国に設けられ、徹底的な検証を実施。そうして同じ年のうちに酵素入り洗剤の安全性が立証され、酵素が洗浄によい効果をもたらすことも確かめられました。

酵素がはたらくためには、適切な温度、pH、反応時間が必要です。そのため、一昔前の酵素では洗剤のアルカリ性や水の冷たさが原因で充分に性能を発揮できないことも多かったようです。しかし近年ではバイオテクノロジーの応用によって適応できる温度帯が広がり、酸やアルカリにも強い酵素が開発されています。これらを洗剤に配合することで、洗剤における界面活性剤の配合量を減らせたり、汚れをより効果的に落とせるようになったりしています。安全性についても国際的に再確認されており、また環境中に出た酵素はバクテリアによってすみやかに分解されることが確認されています。

酵素は生物が作りだすものであるため、反応のために極端な条件を必要としません。私たち生き物に適した常温常圧の穏やかな環境で効果を発揮します。酵素を洗剤に上手に取り入れることで、人にも環境にも負荷の低い洗浄に大いに役立つといえます。

「使いやすさ」を目指したもうひとつの理由

2011年3月11日に東日本を襲った地震。生活に関わる品を扱う店として何ができるか考えていたときに、被災地支援活動をされているIさんという方からメッセージをいただきました。

被災地では下水処理能力も怪しく、電気もお湯も手に入りにくい。洗濯機が使えない人も多い。家事に不慣れな人でも使いやすく、手間があまりかからず、環境にもできるだけ負荷をかけない、そんな洗浄剤をコーディネートしてほしい…という内容でした。

少しでもお役に立てるだろうかとセスキ炭酸ソーダと過炭酸ナトリウムを現地にお送りしました。しかし、やはり長時間の浸けおき、40℃のお湯という「ひと手間」はなかなか難しかったに違いありません。普段の生活では何でもないことが非常時にはとてつもなく高い壁になります。使いやすさと環境負荷の低さを両立した洗浄剤は必要であると痛感しました。Iさんを通じてのさまざまな関わりは、酵素入りセスキの開発に非常に大きな影響を与えてくださったと感謝しています。

最後に、Iさんよりセスキプラス発売に際していただいたメール(一部)をご紹介して本稿を終えたいと思います。

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◆Iさんからのメッセージ

被災地での大きな問題のひとつに、避難所で洗濯に困っているという問題がありました。水道が壊れている。電気もない。排水設備もない。干すところもない。その時、厚かましいとは思いつつも、是非お知恵を!できればご寄付も!とお電話させていただいたのが、生活と科学社さんでした。楽天への公開質問状を送られた時、何だかすごい経営者さんだ!と思っていたので、期待しつつ、トライしてみたわけです。

被災地の状況から求められていた洗剤というのは、「少ない水で洗える、すすぎも楽なこと」「直に水を捨てるので、生分解できる、環境負荷の小さいもの」「手で洗うこともあるから、手荒れしないこと」「効率よく、1回の洗濯機で洗える衣類の量が多いこと」です。

石けん百貨さんは、本当に親身になって考えてくださいました。ただこのとき、丁度被災地も仮設住宅へ移る方が増え、そして私自身が仕事を始めてしまったので、活動も疎遠になってしまいました。迅速にポイントの寄付を実現していただき、私としては本当にありがたく、一段落という気分でした。

それが、つい先日セスキプラスの件で百貨さんからお電話をいただき、驚いてしまいました。お買い物の時に、そういう新しい商品が出るんだーくらいにしか、私は思っていなかったのですが、百貨さんは、ずっとずっとあの時の問題を考え続け、調べ続け、開発し続け、実現されてしまったというわけです。大きなことを成し遂げていかれる方とは、このような方なのだと、本当に感動しました。そして、いろいろお話をうかがうと、セスキがちょっと変わったものではなく、酵素洗濯という新しいものにセスキが入っているという、パラダイムシフトな商品とのことでした。実際に、使わせていただきましたが、先ほどの被災地で求められていた問題がどれもカバーできています。手荒れもしないし、我が家の68L洗濯機が小さじ2杯でOK。実験的に、石けん洗濯ではありえないくらいのパンパンの量を入れても、子どものおねしょの匂いまできっちりとれていました。被災地で求められた、環境への負荷の低さや、省資源・省エネ、何より人へ安全で安心なことが、こうして日常と一続きになったことは、本当にありがたいことです。ありがとうございました!
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最後までお読みくださり、有り難うございました。

株式会社生活と科学社
代表取締役 猪ノ口幹雄



⇒ 石けん百貨 セスキプラス開発エピソード

⇒ 石けん百貨 セスキプラス の商品ページ

2012年12月04日 07:11 | 13.酵素入りセスキ開発中!