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2014年10月02日

石けん百貨オリジナルブランド第8弾 次亜塩素酸を使わない「酸素系カビ取り剤」

「過炭酸ナトリウム」が主剤のカビ取り剤を作りたい

過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)は、衣類の漂白をはじめ水周りの掃除・除菌など、安心な洗浄剤として幅広く使うことができます。当店では「洗濯槽クリーナー」「食器洗い機用洗剤」「入れ歯洗浄剤」「洗濯用洗剤」など、過炭酸ナトリウムのもつ特性を活かし用途シーンに応じた製品をお客様にご提案してきました。

「カビ取り剤」に応用した製品も作りたい…。しかし、それを実現するにはたくさんの課題がありました。ひとつは、過炭酸ナトリウムは顆粒状の物質で水にやや溶けにくく、また水溶液の状態では塗布した表面からすぐに流れ落ちてしまいます。カビ取り剤として機能するためには、カビのよく発生する浴室の壁やシャワーホースなど傾斜のある場所に一定時間とどまる工夫が必要です。もうひとつは、過炭酸ナトリウムを水に溶かしただけでは、カビの黒ズミを漂白・分解するには力不足です。漂白速度と分解速度が最もバランス良く働く領域(=pHが11付近、温度40〜50度)になるような調整も必要になります。


「過炭酸ナトリウムを最適pH&温度でカビ部分に貼り付ける」という新発想

石けん百貨 酸素系カビ取り剤 ペースト状画像

さまざまな試行錯誤を繰り返した結果、「酸化カルシウム(生石灰)」と「ベントナイト」この2つの物質を配合することで、開発を大きく前進させることができました。酸化カルシウムは強いアルカリ性の物質で漆喰、モルタルの原材料であるほか、土壌改良剤や乾燥剤など広く利用されています。水と混ざると化学反応を起こして水酸化カルシウム(消石灰)に変化しますが、その際に水和熱が発生します。一方、ベントナイトは高粘性で粘着性の高い材料ですので、密着性の高いペーストを作ることができます。この2つの物質を過炭酸ナトリウムと組み合わせることで「漂白速度と分解速度が最もバランス良く働く領域」をキープしつつ、「傾斜のある場所に一定時間とどまる」ことが可能になるのではないか…、と実験を繰り返した結果、期待以上の効果を実感することができました。


さらに精査を行い、開発も佳境へ

酸化カルシウムはアルカリが強く(pH約13)、水に溶かすと非常な高温になりますので取り扱いには注意が必要です。酸化カルシウムだけではpHと温度の両方が高くなりすぎるため、pHが11付近、温度40〜50度になるように工夫をしなければなりません。上でご紹介したベントナイトは弱アルカリ性ですので、pH調整剤としても働き、さらに重曹を配合することでpH、温度ともに理想的な範囲に調整することができました。

また、主剤である過炭酸ナトリウムも特殊なものを使用しました。一般的な過炭酸ナトリウムより溶解時の気体発生量が数倍多く、溶解にかかる時間が非常に短いタイプで「発泡性過炭酸ナトリウム」と呼ばれるものです。この発泡性過炭酸ナトリウムを使用することにより、ザリザリとした粒は瞬時にきれいなペースト状にすることができます。この発泡性過炭酸ナトリウムは当店オリジナルブランド第一弾の「入れ歯洗浄剤」にも使われています。

さまざまな調整を行い、開発もいよいよ佳境へ。製品化するまでには、パッケージの作成などで時間がかかるため、ようやく完成させることができたカビ取りを石けん百貨のお客様にモニタリングしていただこうということになりました。材料の手配が済みモニター品作りです。配合、計量、パッキングなどすべて手作業で行いました。スタッフたちは粉まみれになりながら「石けん百貨が新しいものを生み出すときは、なぜか粉まみれになる…」と冗談を飛び交わせながら作業を行っておりました。

モニタリングの結果はそこそこ期待どおり。「ツーンとしたニオイがないので快適」「黒カビがキレイに落とせた」などの嬉しいお声をいただくことができました。一方「薄くはなるけど黒ズミが残った」というご意見もいただきましたが、特にコーキングやゴムパッキンなどの「柔らかい素材」は落としにくいので、何度か繰り返し行っていただく必要があります。モニタリング用の量では何度も試すことができませんので、ぜひ製品で再度お試しいただければ…と思います。

モニタリングに寄せられた、お客様からの報告はこちら


「酸素系カビ取り剤」が完成!

石けん百貨 酸素系カビ取り剤のイメージ画像

こうして、過炭酸ナトリウムを主剤に、酸化カルシウムやベントナイト、重曹などをバランス良く組み合わせた石けん百貨オリジナルのカビ取り剤が完成しました。原材料はすべて無機物で生分解不要。環境にも負荷をかけにくいカビ取り剤です。製品は、酸化カルシウムやベントナイトがベースのA剤と、過炭酸ナトリウムがベースのB剤とに分かれており、さらに、使う前に自分で計量して、水と混ぜて、ペーストを作るカビ取り剤です。ここで、何故すぐに使えるペーストで商品化しなかったのか?という疑問をもたれる方も多いと思います。答えは、カビ取り剤の主剤である過炭酸ナトリウムは、ペースト状のような水分を要する形状にすると数時間で水と酸素と炭酸ソーダに分解してしまい、効果がなくなってしまうためです。つまり、過炭酸ナトリウムを主剤としたカビ取り剤のパワーは「作りたてが最強」ということなのです。

それでも、計量するのが面倒…と思われる方もいらっしゃると思います。そこで、計量が簡単に行えるスプーンをご用意しました。製品に同封の説明書に詳しく記載しておりますので、ぜひご覧になってください。また、計量スプーン以外の小物(カビ取り剤を混ぜるときに必要な容器やヘラなど)もご用意しましたので、ご利用いただけると幸いです。

⇒ 石けん百貨 酸素系カビ取り剤 の商品ページはこちら


最後に、上述の発泡性過炭酸ナトリウムについて、現在のところ一般的な過炭酸ナトリウムに比べて高価な材料となっております。今回のカビ取り剤の開発により発泡性過炭酸ナトリウムが普及し、ゆくゆくは当社のカビ取り剤の価格にも反映して、少しでもお安くご提供できるようになることを期待しております。

<当店の酸素系カビ取り剤は特許出願中です。(出願番号:2014-176499)>


石けん百貨スタッフが使ってみました

●スタッフS
タイル目地に付いたカビ汚れは、これまでカビ部分を温めておいて過炭酸ナトリウムを古歯ブラシなどにつけて直接ゴシゴシ→あまりとれていない・・・と、とても不満でした。「温度がキープできないならば、重曹の研磨作用で十分じゃないの?」とブツブツ言いながら過ごしてきましたので、生石灰に水を加えた時の反応熱には興奮しました。当初は加減がわからず湯気が出たりして、かなり怖い思いもしましたが・・・(汗
ペースト状なのがいいですね。壁部分にもしっかり留まってくれます。時々アルカリスプレーをしながら、1〜2時間放置→スポンジ等で洗い流せば見事にカビは消えました。しかし、コーキングに付いたカビは手強く、一筋縄ではいかない様子。ただ、だんだん色が薄くなってきました。こちらは何度か繰り返そうと思っています。

●スタッフN
浴室の床を掃除しました。水を多めにしてゆるいペースト状にし、床一面に刷毛を使って塗りつけ一時間ほど放置。その後、スポンジを使って洗い流したところ、ワントーン明るい床が現れました。
我が家の浴室の床は水はけを良くしたり、滑り止めの為に、デコボコとした形をしています。週に一度、石鹸でのお手入れで当然キレイに洗えていると思い込んでいたので、ちょっとこれにはびっくり。毎日見ているので余計にそう思えたのかもしれません。
実は試作段階で浴槽エプロンの下部にある溝のカビ取りをした時に、たまたま床にペーストが流れ出て、その部分だけが一皮剥けたようにキレイになったのです。
ブラシなどを使って床掃除をすると場合によっては床に傷が付きそこからカビが生えてくることもあるようです。本製品の場合は、ペーストを塗りつけて後は洗い流すだけ。不要に傷つける心配も無く安心して使えます。是非お試しください。

2014年10月02日 13:20 | 14.石けん百貨オリジナルブランド