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虫歯を予防していた「お歯黒」

6月4日からは「歯の衛生週間」が始まります。この機会に歯の検診に行くなどして、オーラルケアの見直しをしてみるのもよいですね。

コーティングで虫歯菌から歯を守る

ところで昔の既婚女性が歯を黒く染めた「お歯黒」。鉄漿水(かねみず)という自家製の酢酸第一鉄溶液と、五倍子粉(ふしこ)という樹液の粉を楊枝で交互に歯に塗りつけてゆくのですが、これが虫歯予防に効果があったのをご存じでしょうか。

鉄漿水に含まれる第一鉄イオンは歯のエナメル質に働きかけ、耐酸性を高めます。そして、未反応の第一鉄イオンは空気中の酸素によって酸化され第二鉄イオンとなります。これが五倍子粉に約6割も含まれるタンニンと結合し、タンニン酸第二鉄に変化。黒い皮膜となって歯をコートし、虫歯菌から歯を守るのです。

歯磨きも兼ねていた

お歯黒を付ける「作業」は歯磨きも兼ねていました。お歯黒付けは最低でも2~3日に1度は行うのですが、歯に歯垢が残っているとうまく染まりません。そのため、付ける前には歯の汚れを楊枝で丁寧に取りのぞいていたのです。

古い塚や墓から掘り出されるお歯黒の歯に虫歯はほとんどなく、あったとしても進行が途中で止まっているそうです。

明治元年に「もう必要ない」と触書が出たお歯黒ですが、実際には昭和初期まで歯の黒い女性はいたようです。不要とされたあともこんなに続いたのは、多くの人がお歯黒の虫歯予防効果を実感していたからかもしれませんね。

※過去のメールマガジン「石けん百貨通信 2010年6月」のコラムを再掲しています。一部加筆修正しています。

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