HOME  |  目的別How To  |  衣類・服飾雑貨のお手入れ  |  洗濯機での洗濯  |  洗濯槽クリーナーの選び方

洗濯槽クリーナーの選び方

過炭酸ナトリウムを利用した製品がお勧め

過炭酸ナトリウム利用の製品(酸素系)と、次亜塩素酸利用の製品(塩素系)では、過炭酸ナトリウムの洗濯槽クリーナーがお勧めです。

お勧めの理由

  • 過炭酸ナトリウムは優れた酸化剤であり、汚れが良く取れる。
  • 有機物を含まず生分解不要。環境に高い負荷をかけない。
  • 最終的には水、酸素、炭酸ソーダ(炭酸塩/炭酸ナトリウム)というほぼ無害な物質に分解する。

動画サイトでも、過炭酸ナトリウムによる洗濯槽掃除で大量の汚れが出た様子がよく紹介されています。

酸素系漂白剤の主成分でもある過炭酸ナトリウムが優れた洗浄力(酸化力)を持つことがこの事からも分かります。

塩素系の洗濯槽クリーナーをお勧めしない理由

塩素系の洗濯槽クリーナーは広く販売され、入手しやすいのが利点です。しかし、以下の欠点があるためお勧めしません。

扱い方によっては有毒ガスが発生する

トイレ用の洗剤など酸性物質と混ざると有毒な塩素ガスが発生して人体に害を及ぼす。

トリハロメタンなどが生成される

トリハロメタンなどの多種多様な有機塩素化合物を生成して環境汚染の原因になる。

塩素臭

特異な塩素臭があり、人によっては目や鼻に刺激を感じる事がある。

当サイトでは次亜塩素酸より過炭酸ナトリウムを推奨するため、以後は過炭酸ナトリウムが主成分の洗濯槽クリーナーについて論じます。

配合成分の数が少ないクリーナーがお勧め

成分欄に過炭酸ナトリウム以外の成分名が出来るだけ少ない製品がお勧めです。

ただしメタケイ酸ナトリウム等、過炭酸ナトリウムの働きを助ける成分はこの限りではありません。

界面活性剤が配合されていない製品がお勧め

成分欄に成界面活性剤を含む製品はお勧めしません。

合成界面活性剤や石鹸等の界面活性剤は、過炭酸ナトリウムの酸化力を削いでしまう為です。

何故、界面活性剤は過炭酸ナトリウムの働きを弱めるのか?

過炭酸ナトリウムは有機物や金属などと激しく反応し分解します。過炭酸ナトリウム主体の洗濯槽クリーナーは、その力で汚れやカビを取り除きます。

そこに合成界面活性剤や石鹸(何れも有機物)が配合されていればどうでしょう。

過炭酸ナトリウムの作用がそれらに無駄に費やされます。結果、肝心の洗濯槽の汚れ落としの力が減ってしまいます。

界面活性剤入り製品を避けるには?

一般的な店舗では界面活性剤入りのクリーナーの方が入手しやすい状況です。界面活性剤配合の有無は、成分欄をチェックすると分かります。

※界面活性剤が過炭酸ナトリウムに与える悪影響については「混ぜないで!過炭酸ナトリウムと界面活性剤 ~泡と消える過炭酸パワー~」をご覧下さい。

メタケイ酸ナトリウムが追加できると更にお勧め

洗濯槽クリーナーを家庭で使う場合、基本的には混ぜ物をしないのがお勧めです。

しかし、「メタケイ酸ナトリウム」は例外。このアルカリ剤を追加すると、過炭酸ナトリウム単体の時より効果的に洗浄・殺菌漂白が行えます。

※メタケイ酸ナトリウムについて詳しくは「「美肌の湯」の素が過炭酸ナトリウムをパワーアップ:メタケイ酸ナトリウム」をご覧下さい。

「泡でカビを落とす」の間違い

界面活性剤(石鹸含む)入りの酸素系洗濯槽クリーナーは大変よく泡立ちます。泡が汚れに効いている様に見えます。しかし事実は違います。

カビを落とすのは「酸化力」

過炭酸ナトリウムは水に溶けて炭酸ソーダと過酸化水素に解離します。

その過酸化水素は、弱アルカリ性水溶液中で加熱されると活性酸素と水に分解。その活性酸素の酸化力が、殺菌漂白力を持つのです。

泡は「結果」

過炭酸ナトリウムを洗濯槽の掃除に使うと、汚れがひどいほど激しく発泡します。

しかし、カビや汚れを分解するのは活性酸素であって「泡」ではありません。発泡はカビや汚れが酸化・分解された「結果」なのです。

「ちゃんと掃除していたのに……」

「(市販の)クリーナーで掃除していたのに、過炭酸ナトリウムを使ったら大量の汚れが出た」

こんな事が起きる原因は界面活性剤にあるかも知れません。

洗濯槽クリーナーに界面活性剤を配合。その結果、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムの酸化力が弱くなる。よって汚れが取り切れずに溜まる。

上記の様な事が起こる可能性がある為です。

学術的な見解

過炭酸ナトリウムの化学的性質がよくわかる実験があります。この論文中には以下の記述があります。

佐賀大学文化教育学部研究論文「過炭酸ナトリウムを利用した実験教材」(発行年2013年08月30日)

  • 過炭酸ナトリウムの他に界面活性剤、アルカリ剤(炭酸塩)、漂白活性剤、安定化剤、酵素などが入っている酸素系漂白剤は、特に界面活性剤が酸素発生時に多量に泡となり、酸素がうまく発生しない。
  • 過炭酸ナトリウムのみの酸素系漂白剤は、上記界面活性剤などが添加されたものと比べて酸素の発生量ははるかに多い。

つまり、洗浄効率を考えると、過炭酸ナトリウムが主成分の洗濯槽クリーナーに界面活性剤を配合するのは適切でないということです。配合すれば過炭酸ナトリウムの酸化力が界面活性剤等の分解のために奪われるだけです。

これは、過炭酸ナトリウムを主成分とした食器洗い機専用洗剤等、他の洗剤についても同様です。

2021年2月改訂(2018年10月初出)

ページのトップへ移動