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炭酸塩と酸素系漂白剤

炭酸塩の代用としての過炭酸ナトリウム

分解して炭酸ソーダになる過炭酸ナトリウム

無添剤の粉石鹸で洗濯する際、助剤に適した炭酸ソーダ(炭酸塩)が手元にない。

そんな時は炭酸ソーダの代用品として過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を使うことができます。

石鹸と一緒に使うと、過炭酸ナトリウムは石鹸液の中で過酸化水素(漂白成分)を放出して炭酸ソーダになります。

少し勿体ない使い方ではある

この使い方だと、過炭酸ナトリウムの一番の強みである漂白作用が生かされません。よって、やや勿体ない使い方ではあります。

また、過酸化水素の分、炭酸ソーダの分量は少ないので、純粋な炭酸ソーダよりも気持ち多めに使う必要があります。

「洗いながら漂白」は難しい

炭酸塩の代わりに過炭酸ナトリウムを使えば、石鹸で洗いながら、過炭酸ナトリウムで漂白できて良さそうに思えます。

実際、「石鹸洗濯に起こりがちな黄ばみ黒ずみを解消できる(注1)」として、炭酸塩無添剤の粉石鹸と過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)(注2)のペア使いが勧められる事もあります。

しかしその方法は巧く行きません。理由は以下の通りです。

水温・時間が足りない

過炭酸ナトリウムは水に溶けると炭酸ソーダ(炭酸塩)と過酸化水素に分かれます。そしてその過酸化水素から発生した活性酸素によって漂白を行います。

しかし、そのメカニズムが巧く作用するには約40度以上の水温と、20分以上の時間が必要です。一般家庭の洗濯でその条件を毎日満たし続けるのは容易ではありません。

漂白成分が石鹸と反応してしまう

過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)から発生した漂白成分・活性酸素は、石鹸と一緒に使うと衣類の汚れより先に石鹸分と反応してしまいます。

過酸化水素を水で薄めた物が皮膚の消毒などに用いられるオキシフルです。言うなれば、石鹸液の中でオキシフルの泡が一瞬たち、その直後に石鹸に反応してたちまち消えてしまうという図式です。

これでは十分な漂白作用は期待できません。

※注1:洗濯石鹸を適正に使えていれば、衣類がことさらに黄ばんだり黒ずんだりすることはありません。

※注2:「酸素系漂白剤」には、過炭酸ナトリウム(過炭酸ソーダ)のほかにも過ホウ酸ナトリウム、過酢酸などがあります。日本の一般家庭では過炭酸ナトリウムが主流になっているので、ここでは過炭酸ナトリウムに限って解説しました。

2020年12月改訂(2009年11月初出)

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