HOME  |  目的別How To  |  衣類・服飾雑貨のお手入れ  |  Q&A  |  ウール洗いの温度はなぜ30℃?

ウール洗いの温度はなぜ30℃?

ウール洗いは、洗いから濯ぎまで30℃の水温を保つのが上手に仕上げるコツです。

何故、冷水でや熱いお湯ではない「30℃のぬるま湯」なのでしょうか。何故、最初から最後まで同じ温度を保つべきなのでしょうか。

30℃を「保つ」べき理由

ウールは羊の体毛です。水につけると人間の毛髪と同じように膨潤して、表面のスケールというウロコ状の物(キューティクルような物)が開きます。

スケールが開いた状態のウールを揉んだり擦ったりすると、スケールが絡み合います。結果、フェルト化が起きて生地が縮んでしまいます。

冷水から温水、温水から冷水と、温度を急に変える事も強い力をかけたのと同じ事になり、ウールは縮みます。このため、最初から最後まで同じ温度で洗うことが大切、という訳です。

冷水や熱いお湯を使ってはいけない理由

熱いお湯だと縮む

ウールを構成するタンパク質は高温に弱く、熱いお湯につけると繊維が変質します。高温ではスケールが一層開き易く、縮み易くもなります。その為、熱いお湯で洗うことはできません。

冷水だと汚れが落ちない

石鹸は20度以下の冷水にはよく溶けず、洗浄力が悪くなります。すすぎ性もよくありません。

そもそも、汚れという物は低温になる程落としにくくなります。

特に皮脂汚れは低温になるほど落ちにくく、人間の体温に近い30℃程度以上で落とし易くなります。

綿や麻など丈夫な繊維であれば、低温を補う為に揉んだり擦ったりしてある程度の汚れは落とせます。しかしウールにそれができません。

冷たくも無く、熱くも無い30℃が適温

できるだけ汚れ落ちのよい温かさで、しかも熱すぎない。石鹸もよく溶ける。これらが、ウール洗いに30℃のぬるま湯が適している理由です。

石鹸以外で洗う時も

石鹸で洗うほどでは無い軽い汚れはセスキプラスナチュウォッシュ等で洗う事も可能です。

この時も、30℃のぬるま湯が適している事に変わりはありません。

2020年2月改訂(2010年5月初出)

ページのトップへ移動