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逆性石鹸とは何ですか?

殺菌目的で、洗浄力はない逆性石鹸

逆性石鹸とは、陽イオン界面活性剤のことです。石鹸という名が付いていますが洗浄力はほとんどありません。

私たちが汚れ落としに使う石鹸や合成洗剤の多くは、水に溶けるとマイナスの電気を帯びて(帯電)陰イオン(アニオン)となります。そのため陰イオン界面活性剤と呼ばれます。

それに対し、逆性石鹸は水中ではプラスに帯電して陽イオン(カチオン)になります。「普通の石鹸とは逆の性質」なので「逆性石鹸」というわけです。

塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤は殺菌剤としてよく知られます。

逆性石鹸(陽イオン界面活性剤)が殺菌する仕組み

逆性石鹸はプラスに帯電しているので、マイナスに帯電している物に引き寄せられます。

細菌やカビを構成するタンパク質やセルロースはマイナスに帯電しています。その為、逆性石鹸を近づけると細菌やカビの細胞表面に強く吸着します。

陽イオン界面活性剤が吸着すると、タンパク質やセルロースは変質します。その結果細胞の構造が破壊され、細菌やカビは死んでしまうのです。

ウイルス対策には用いられない

逆性石鹸はウイルスに対しては十分な効果が無いとされています。従ってウイルスによる感染症対策にも使われません。

ヘアリンスや柔軟剤としても

逆性石鹸は、ヘアリンスや衣類の柔軟仕上げ剤などに使われる事もあります。

髪はタンパク質、服はセルロースなどでできています。その為、逆性石鹸が電気的にくっつきます。するとその陽イオン界面活性剤が空気中の水分を捉まえるので髪や服が柔らかくなります。

これが、リンスや柔軟剤を使うと柔らかくなったり静電気が起きにくくなったりする理由です。

石鹸(陰イオン界面活性剤)と混ぜてはダメ

陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤を混ぜるとお互いの性質を打ち消し合います。

従って、手洗い石鹸に殺菌性を持たせようとして逆性石鹸を混ぜると、手洗い石鹸の洗浄力も逆性石鹸の殺菌力もどちらも失われてしまい逆効果です。

逆性石鹸で殺菌したい場合は最初にきちんと普通の石鹸で手を洗い、その後で逆性石鹸を使うようにします。

通常の生活では不要

通常、家庭での手洗いに逆性石鹸を初めとする殺菌剤の類は特に必要ありません。

手に付いた菌は普通の石鹸でさっと洗うだけで95%が取り除けます。丁寧に洗えばその効果はもっと高まります。

私たちはつい「雑菌対策=殺菌」と考えてしまいます。しかし基本の手洗いを正しく行って菌を取り除く「除菌」がまずは肝要なのです。

これは細菌だけでなく、ウイルス等に関しても同じ事です。

2020年7月改訂

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