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04:過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)の最も悪い使用例 ~「酸素の発泡パワー」で汚れは取れない

騙しの泡パフォーマンス その1

「トリプルパワーの相乗効果」で「汚れがごっそり取れる」
◎界面活性剤(無添加粉石けん)
…洗濯槽についている汚れの吸着力を弱めて落としやすくする力
◎重曹
…石けんの効能を持続させる力
◎過炭酸ナトリウム
…発泡作用で汚れを引きはがして浮かび上がらせる力

みなさんは、こんな謳い文句の洗濯槽クリーナーを使っていませんか?

3つの成分はメーカーの謳い文句通り働くのでしょうか。
残念ながら、人間の思惑通りには働かない。

まず、重曹(pH8.2)は過炭酸ナトリウム(pH10.5)のpHを下げ、酸化力(汚れやカビを分解する力)を下げる。
石けんを混ぜれば、過炭酸ナトリウムが石けんを分解し激しく発泡するが、その分過炭酸ナトリウムの酸化力は消耗する。

要するに派手に発泡し汚れが浮いてくるから、いかにも「ごっそり」取れているかのように見えるが、実は過炭酸ナトリウムの優れた酸化力を石けんと重曹で足を引っ張るタチの悪い騙しの泡パフォーマンス商品だ。

40℃のお湯1Lに過炭酸ナトリウムのみ(A)と、石けん入りの洗濯槽クリーナー(B) 各10gを溶かした5分後の画像です。

(A)過炭酸ナトリウムには分解する対象がないため、発泡せず酸素を出し続けている。 (B)過炭酸ナトリウムが石けんに反応して発泡し泡の層ができた、酸素が無駄に使われた現象

騙しの泡パフォーマンス その2

最近、発泡作用で物理的にカビを剥離し落とすとして、「酸素の発泡パワー」や「強力な発泡力」を謳い文句にした商品が増えてきています。
過炭酸ナトリウムを先に投入してから、過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼを追加投入する洗濯槽クリーナーも出ています。見事に発泡しますがカビや汚れの大半は残したままです。

過炭酸ナトリウムは有機物や金属に強く反応するから、石けんなどの有機物を一緒に入れれば派手に発泡するのは当たり前。

酸素の発泡パワーでごっそり取り除く」とか「発泡作用で物理的にカビを剥離する」などとバカなことを謳っているが、重曹とクエン酸や酢を混ぜて中和作用で発砲させ汚れを取る、と言っているのと同じレベルだ。恥ずかしくないのだろうか。消費者をバカにするにも程がある。

考えてもみてほしい。
泡とは、液体が空気を包んでできた玉で「あぶく」とも言い、すぐ消えるところから、はかないことのたとえにも使われる。
そんな泡が洗濯槽にこびりついたカビや汚れを剥ぎ取ることができると思いますか。
泡は汚れを浮かせたり、包み込むだけ。

カビや汚れを取る(分解する)のは過炭酸ナトリウムから解離した酸素の力であって、泡ではない。泡は石けんや汚れに反応した結果なのだ。

過炭酸ナトリウムのみの酸素系漂白剤と界面活性剤の入っている酸素系漂白剤との酸素の発生を比較した実験結果があります。
佐賀大学文化教育学部研究論文「過炭酸ナトリウムを利用した実験教材」(PDF)(発行年2013年08月30日)。
http://portal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/121182/2/gushiken_201308.pdf

その実験結果は、「過炭酸ナトリウムの他に界面活性剤、アルカリ剤(炭酸塩)、漂白活性剤、安定化剤、酵素などが入っている酸素系漂白剤は、特に界面活性剤が酸素発生時に多量に泡となり、酸素がうまく発生しない」と指摘している。
一方、過炭酸ナトリウムのみの酸素系漂白剤は、上記界面活性剤などが添加されたものと比べて酸素の発生量ははるかに多い、という結果です。

上に取り上げたメーカーは、やたら「ごっそり取れる!」を連発しているが、掃除の後洗濯機を分解してみれば、汚れが「ごっそり残っている」ことの方が多い。
しかし、一般家庭で洗濯機を分解してクリーニング効果を見ることは難しい。
だから、もっともらしい謳い文句のクリーナーが売れるのだろうと思う。
はっきり言えることは、過炭酸ナトリウム単独で使った方がもっとごっそり取れる

パナソニック社製洗濯機の取扱説明書の「洗濯槽クリーナーで洗う」のページには「市販の界面活性剤入りの洗濯槽クリーナーは、泡立ちが多いために途中で排水し、十分な効果が得られない場合があります。」との注意書きがある。
大手家電メーカーの純正の洗濯槽クリーナーには界面活性剤は配合されておらず、成分は次亜塩素酸ナトリウムと錆防止剤としてのケイ酸塩のみ。
パナソニック取扱説明書(部分)(PDF)

泡パフォーマンスでクリーナーを売るメーカーは、知識がないのか、良心がないのか、どちらかである。

酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)が主成分の洗濯槽クリーナはこちら
※酸素の発生を阻害する界面活性剤などの添加物は入っていません。

酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を使った洗濯槽の掃除の方法は下記リンク先をご参照ください。
縦型全自動洗濯機の洗濯槽掃除
ドラム式洗濯機の洗濯槽掃除
二槽式洗濯機の洗濯槽掃除

「3種類の過炭酸が効く!洗濯槽クリーナー」の商品ページはこちら。
素早く反応する速攻型。安定して働く通常型。他の2種が反応し尽くした後に働く遅効型。性質の違う3種の過炭酸ナトリウムがタッグを組んで汚れに働き、従来型の洗濯槽クリーナーと比べ、より長く安定した洗浄力を発揮します。

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