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05:発泡を売りにする洗濯槽クリーナーは汚れをごっそり残す ~洗浄後、洗濯槽を分解してみた

酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)(以下過炭酸ナトリウム)は使用後、水と酸素と炭酸ソーダに分解するので生分解の必要がなく、環境にほとんど負荷をかけずにカビや汚れを除去する優れた資材です。
その優れた洗浄力が広く理解され、洗濯槽の掃除に使われるようになりました。
同時に過炭酸ナトリウムを使った洗濯槽クリーナーも多く商品化されています。
ところが、「04:過炭酸ナトリウムの最も悪い使用例」で紹介したように、発泡を売りにする泡パフォーマンスの洗濯槽クリーナーが続々と登場しています。

筆者は泡パフォーマンスの洗濯槽では、汚れは「ごっそり」取れないことを指摘しましたが、それを実証するために、実際に商品を使って洗濯槽を洗浄してから洗濯機を分解してみました。

使ったのは、「無添加粉石けん」「重曹」「過炭酸ナトリウム」が成分で、「トリプルパワーの相乗効果」で「汚れがごっそり取れる」と謳う酸素系の洗濯槽クリーナー。

洗濯槽を40℃のお湯で最高位まで入れ、クリーナー500gを5分間運転して溶かした後、4時間放置し、そのままの状態から高水位で「標準コース」(洗濯→すすぎ→脱水)を1サイクル運転した。洗浄後、洗濯槽の中に汚れが残っていたので、さらに1サイクル「標準コース」ですすいだ。
その後洗濯機を分解した結果は下記の通り。
「ごっそり」取れているのか、見てください。

分解した業者は スミリンエンタープライズ株式会社 (東京都新宿区)
http://www.sumirin-sep.co.jp/hc/
洗濯機もスミリンさんに用意していただきました。

東芝製で約4年前購入、自社のハウスクリーニング業務で使った作業着や雑巾などの洗濯に使用。使用頻度は一般家庭よりも多いとのこと。2~3か月に1回、過炭酸ナトリウムで洗濯槽のクリーニングを行ってきたが、今回初めて分解した。

洗浄後4時間放置した洗濯槽↓
過炭酸ナトリウムを使用した時よりも浮き出た汚れが少なかった。(スミリンエンタープライズ株式会社 吉川氏談)

2回目のすすぎ終了後の洗濯槽↓
一見きれいになっているように見えるが…

分解して取り出した洗濯槽はこの通り↓

脱水槽を外した後の洗濯槽もご覧の通り↓

洗濯槽の上部と下部↓

泡パフォーマンスの洗濯槽クリーナーのメーカーのウェブサイトには、商品使用後、 「洗濯槽の裏側にへばりついたカビを丸ごとはがし取る」「黒カビ、汚れ、ニオイがごっそり取れる」と謳い、ピカピカになった写真やイメージ画像が掲載されています。

明らかに誇大広告だ。

●洗濯槽クリーナーの洗浄効果を調べる方法

洗濯機を分解しなくても、実際にどれぐらい汚れが取れているかを調べることは簡単にできる。
酸素系(過炭酸ナトリウムが主剤)でも、塩素系(次亜塩素酸ナトリウムが主剤)でも、界面活性剤を配合した洗濯槽クリーナーで洗浄後、過炭酸ナトリウムを300~400g、約40℃のお湯を洗濯槽の最上位までいれ、再度洗濯機を回してみれば、汚れが浮いてくる。
販売サイトのクリーナー使用後の写真やイメージ画像のようにピカピカになっていれば、汚れは浮いてこないはず。

もちろん、過炭酸ナトリウムだけで洗浄した場合でも分解掃除のように完全に汚れを取ることはできません。
しかし、スミリンエンタープライズ株式会社・吉川氏の感想にもあるように、過炭酸ナトリウムだけで洗浄した方が圧倒的に汚れはよく取れる。
1年も2年も掃除をしていない場合は別として、2~3か月に一回(できれば月1回)過炭酸ナトリウムで洗浄すれば、洗浄後に再度過炭酸ナトリウムを投入してもほとんど汚れは出てこない。

酸素系の洗濯槽のクリーニングは、「酸素の発泡パワーでごっそり取り除く」とか「発泡作用で物理的にカビを剥離する」のではない。 カビや汚れを取る(分解する)のは過炭酸ナトリウムから解離した酸素の力であって、泡ではない。泡は石けんや汚れを分解した結果なのだ。

過炭酸ナトリウムに石けんや重曹を混ぜると、過炭酸ナトリウムだけのクリーニングの時よりも派手に発泡するから、いかにも汚れが取れているように見える。

過炭酸ナトリウムの間違った使い方は、資材だけでなく、さらにお湯、そして時間までも無駄にしてしまう。

酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)に石けんや重曹を混ぜたらアカン。
泡パフォーマンスに騙されないで!!

酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を使った洗濯槽の掃除の方法は下記リンク先をご参照ください。
縦型全自動洗濯機の洗濯槽掃除
ドラム式洗濯機の洗濯槽掃除
二槽式洗濯機の洗濯槽掃除

「3種類の過炭酸が効く!洗濯槽クリーナー」の商品ページはこちら。
素早く反応する速攻型。安定して働く通常型。他の2種が反応し尽くした後に働く遅効型。性質の違う3種の過炭酸ナトリウムがタッグを組んで汚れに働き、従来型の洗濯槽クリーナーと比べ、より長く安定した洗浄力を発揮します。

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