HOME  |  09:石けんの特性

09:石けんの特性

石けんにはほかの洗剤にはない以下の特性があります。

(1)石けんはカルシウムイオンとマグネシウムイオンに出会うと石けんカスになる

温泉で石けんを使って顔や体を洗おうとしたら、泡がなかなか立たなくて困った、という経験をしたことがありませんか。

温泉にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの金属イオン(ミネラル)が多いところがあって、そんな温泉では、石けんはカルシウム石けんやマグネシウム石けんという金属石けん(いわゆる石けんカス)になってしまい泡が立ちません。

お風呂で石けんを使った後、洗面器のお湯に白いカスのようなものが浮かんだり、白いものが付着するアレ。
垢だと思っている人もいると思いますが、大部分は石けんカスなのです。

皮膚は弱い酸性なので、弱アルカリ性の石けんは石けんカスになりますが、洗った後のさっぱり感は石けんカスによるものです。
その結果、脱脂力は適度に和らげられるのです。

合成洗剤がいつまでもヌルヌルしているのは長く皮膚に残っているからです。

(2)石けんは酸に弱い

長野県の白馬八方温泉(pH 11.5)や埼玉県の時川温泉(pH 11.3)のようなアルカリの強い温泉はよく泡が立ちますが、玉川温泉(pH 1.2)や草津温泉(pH 2.0)のような酸の強い温泉では石けんでは泡は立ちません。

弱アルカリ性の石けんは酸に中和されて酸性石けん(これも石けんカス)になってしまう。

(3)石けんはうすまると洗う力を失う

石けんが働くためには、ある程度以上の濃度が必要で、その濃度を下回ると、汚れを捕まえる力を失う。

泡が立たない、泡が消えてしまうのは、汚れに対して石けんが足りないから。

●洗濯と泡

洗濯に石けんを使う人が減ったのは、洗濯機が二槽式から全自動になったことも大きな原因です。

一槽で洗濯・すすぎ・脱水を全て行う全自動と違って、二槽式洗濯機での洗濯は汚れの軽いものから3回ぐらい洗濯水や洗剤を使い回すことができます。
そして泡が消えたら洗剤を足すので、石けんが汚れに負けるようなことは少なかった。

全自動でもしっかり泡立った状態で石けんを使えばきれいに仕上がるのに、洗濯機任せの「スイッチポン」で、泡を見ることがほとんどなくなったため、石けんが泡立っていないいわゆるカルピス状態での洗濯が増えることになった。

二槽式洗濯機が主流であったころは、洗剤の泡立ちは重視されていたが、全自動洗濯機が主流になってからは、泡は問題にされなくなり、ドラム式洗濯機の普及もあって、今日の洗濯用合成洗剤は低発泡型になっている。

カルピス状態=汚れに対して石けんが足らないと、石けんは洗う力を発揮できず、水に溶けない酸性石けんになり、洗濯物の黄ばみ・悪臭や洗濯槽のカビの原因になる。

最近の洗濯機は、節水、省エネが金科玉条だから、全自動、ドラム式に関わらずメーカーは使用水量、洗濯時間、消費電力で競うことになり、最低限の水で、できるだけ短時間で洗濯を完了させるようになっています。

したがって、昔の洗濯機よりも洗浄力は低くなっていると考え、洗濯物は表示容量の70%ぐらいにし、水面から洗濯物が出ないようにするなどの工夫が必要です。

石けんで洗濯をする場合は、洗濯中に泡が消えないように注意することが最も大切です。

●石けんカスは洗濯には厄介者

すぐに界面活性作用を失って石けんカスになる石けんの特性は、身体の洗浄や環境には長所として働きますが、洗濯には全く逆で短所となります。

したがって、まともな洗濯用石けんには石けんの短所を補う炭酸塩などの助剤が配合されています。

次回は「10:助剤(ビルダー)の役割」です。

「炭酸ソーダ(炭酸塩)」の商品ページはこちら。
石鹸洗濯の助剤に。これ単独で「アルカリ洗濯」に。アルカリ度が高いので、家事用手袋を使うのがオススメです。

前の記事←  →次の記事

ページのトップへ移動