キャリアオイルについて
アロマテラピーで精油を用いてマッサージを行う場合、精油そのものには皮膚を刺激する成分が入っている場合があり、加えて精油は植物の凝縮された成分でできているため、例外的に一部の精油の特定された使用法以外には直接肌に塗ることはできません。ちょうどコーヒーを飲む時にコーヒー豆をかじらないのと同じことです。精油にとってキャリアオイルとはコーヒーを入れる際の「水」に相当するもので、精油マッサージをする時の基材としてのベースオイルのことをいいます。キャリアオイルの「キャリア」とは有効成分を皮下や血管に運ぶという意味です。このように、キャリアオイルは精油を浸透させるお手伝いをしてくれるとともに、それ自体にもさまざまな作用があるので、例えば精油を使えない乳児のマッサージにはキャリアオイルだけを使います。

また、キャリアオイルの中には、主に単独で使用するのではなく、他のキャリアオイルとブレンドして使用するオイルがあります。これを、添加用オイルといい、ブレンドしたキャリアオイルの力をアップする働きがあります。添加用オイルには、アボガド油、ウィートジャーム油、ローズヒップ油などがあります。

キャリアオイルも精油と同様、使用する人との相性の良し悪しがあったり、アレルギー体質に向かないオイル(ウィートジャーム油、大豆油など)がありますので、使用前には必ずパッチテストを行いましょう。
【グレープシード】
肌への刺激が少なく、ビタミンを多く含んでいます。特にビタミンEが多いので、酸化しにくく肌を若返らせます。脂性肌に向くオイルで、イギリスでは多く使われています。
【ローズヒップ】
他のキャリアオイルに5〜10%添加して使用する添加用オイルです。消炎作用、抗アレルギー作用、保湿作用、ホルモン分泌作用に優れています。皮膚の新陳代謝を促し、組織の損傷を回復して保護する作用があるので、衰え始めた皮膚細胞や皮膚の疾患に効果的で、特に目尻のしわに効果があります。また、乾燥や老化によるトラブル、色素沈着に対するフェイシャルスキンケアに最適です。ただし、粘度が高いため脂性肌やにきび肌には不向きです。
【アプリコットカーネル】
ミネラルとビタミン類、特にビタミンAに富むオイルです。軽くて皮膚への浸透性と保湿性に優れています。フリーラジカルを抑制し、疲労した肌を回復する天然の保湿剤です。全身に使えます。
【ウィートジャーム(小麦胚芽)】
ビタミンE、たんぱく質を多く含んでいるので栄養価に富み、ホルモンバランスを整える作用があります。酸化しにくく、ビタミンEにより血液の循環を促し、老化を防ぎます。粘度が高く濃厚で香りが強いオイルで、単独使用では使用感がよくないので、他のキャリアオイルに10%〜20%程度加えて保存性を向上するのに使われます。小麦アレルギーのある人や、季節の変わり目、体調不良時はトラブルを起こす可能性がありますので注意しましょう。
【アボガド】
乾燥肌、老化肌、日焼け後のスキンケア(特にフェイス)用に適している、抗酸化系のオイルです。各種のビタミン、レシチン、たんぱく質、脂肪酸、ミネラルや葉緑素などを豊富に含みます。肌の柔軟剤、酸化防止剤、栄養補給として他のキャリアオイルに10%程度加えて使用するのが一般的です。ワックス成分の含有量が多いため、冷蔵庫で保管すると固まりますが、常温で溶け、問題なく使用できます。
【オリーブスクワラン】
皮膚上での伸びに優れ、非常に浸透性のよいオイルです。皮膚細胞に活力を与え、肌に張りと輝きを与え、皮膚表面の汚れや雑菌を除去します。さらに、角質化を抑制し、皮膚を柔軟にします。日光に当たるときの保護オイルとして使用できます。無刺激ですので敏感肌の方や幼児にも使えます。熱に強いのでクリーム等の基材にも適しています。
【つばき(カメリア)】
アジア原産であり、欧米では最近ようやく一般的になってきました。皮脂成分でもあるオレイン酸とトリグリセリドの含有率はキャリアオイルの中でも最も高く、抗酸化作用に優れ、紫外線B波を100%遮断します。皮膚に異質性がないのでなじみやすく、刺激もなく、酸化に対する安定性に優れています。皮膚の軟化作用に優れ、フェイシャル、ヘアケア等に使用できます。
【ココナツ】
髪に適度な油分を補給するヘアケア用や、紫外線の刺激を和らげる作用があるので、肌を守ったり、美しく焼くサンオイルとして使用されます。多くの場合、乾燥したココナツから溶剤抽出で抽出されます。敏感肌の方や、乳児には刺激がある場合があります。
【セサミ】
アーユルベーダのマッサージの基本油としても使用されています。全タイプの肌にあい、紫外線を25%遮断します。ビタミンなどの栄養価が高く、熱を加えても特性が変わらず酸化しにくいオイルです。

精油事典トップへ