石けん百貨: ショップからのお知らせ

アルカリ洗濯をパワーアップさせたい

「『着たら洗う』が普通の今、毎回の洗濯に合成洗剤や石鹸は必要？」
「石鹸も油脂という有機物から作られるもの。使いすぎはやはりよくない」
「昔は灰汁（あく）というアルカリで洗っていた。これをうまく使えないか」

こうした経緯から、アルカリ洗濯用の洗剤としてセスキ炭酸ソーダをご紹介したのは今から12年前の2000年。お陰さまで、今では「セスキ」の愛称とともにたくさんのお客さまにご支持いただいています。

ですが、アルカリ洗濯にも「浸けおき時間が長い」「界面活性剤と比べ洗浄力が弱い」などの弱点があります。それらを改善するためにはどうすればよいのか考え続け、そして見つけたひとつの答えが「酵素」です。汚れの多くを占めるタンパク質や脂質、デンプン質、これらを分解する酵素を加えればアルカリ洗濯がもっと使いやすくなるのではと考えたのです。

「アルカリ洗濯」から「酵素洗濯」へ

酵素については、耐アルカリ性、耐熱性に優れた洗剤用のタンパク質・デンプン質・油脂・セルロースの4種類の分解酵素を使うことにしました。

早速それらをセスキに混ぜて実験。結果は期待以上でした。セスキだけのときより、ずっと短時間でずっときれいな洗いあがり。水30Lに小さじ1杯で充分という少なさにもビックリしました。酵素は通常の化学反応を加速させる働きがあるので使うのは少しでいいんですね。使用量が少ないということは排水となって環境に出たときに水を汚しにくいということでもあり、石けん百貨の理念と一致します。

酵素を使うととても「楽ちん」なことも分かってきました。酵素はもともと生き物の体内で働くものなので、洗濯のときも大きなエネルギー（電力や燃料、時間など）を必要としないのです。これは家事をする人や環境にとって大きなメリット。ライフラインがいつも通り使えない非常時のお洗濯にも、この省エネ性は力を発揮するはずです。

こうして実験を重ねるにつれ「これはアルカリ洗濯とはまったく違う『酵素洗濯』というものが生まれつつある」と考えるようになりました。それに伴ってセスキの位置づけも変化。洗浄の主役は酵素に譲り、セスキは洗浄に適したpHを保つ縁の下の力持ち的な役割を担うことになりました。

モニタリング開始

開発が進み、スタッフ間での感触も上々。でも洗濯環境が大きく変わるとどうなるか分かりません。そこで、全国のお客さまにモニタリングしていただこうということになりました。酵素の輸入元さんにもご協力いただき、モニター品作り開始です。セスキ炭酸ソーダの販売当初と同じく、配合、計量、パッキングなどすべてが手作業。なんだか昔に帰ったようで少し楽しくもありました。

こうして2012年5月より「酵素入りセスキ炭酸ソーダ」としてモニタリングがスタートしました。「セスキだけのときより汚れ落ちがいい」「浸けおきなしで便利」「タオルが柔らかい」など嬉しいレビューをたくさんいただき、スタッフ一同胸をなで下ろしました。また、成分や使い勝手について非常に参考になるご意見も多くいただくことができました。

⇒ 第1回 モニタリングに寄せられた、お客様からのレビュー

⇒ 第2回 モニタリングに寄せられた、お客様からのレビュー

セスキプラスの完成

あとは酵素の最終選定です。酵素と一口に言ってもその働きによって種類はさまざま。その中から現時点でもっとも洗浄に効果的と思われる酵素を選びました。

こうしてできあがったのが、今回新発売となったセスキプラスです。モニターの皆さまをはじめ、開発にご協力いただいたすべての方々に厚くお礼申しあげます。有り難うございました。

酵素にはまだまだ未知の可能性があります。技術開発によりもっと効果的な酵素がこれからも現れることでしょう。セスキプラスもここで立ち止まることなく、常によりよい製品であるため努力をしてゆきたいと考えています。

⇒　社長メッセージ：セスキプラス発売によせて

⇒　石けん百貨 セスキプラス の商品ページ

スタッフが使ってみました

●スタッフK
試作品を含めるともう半年くらいずっとこれだけで洗っています。衣類の黒ずみ、ニオイが落ち切らない、などの問題もなく、いつもすっきりとした洗い上がり、ふんわりとした仕上がりです。4歳と9歳の子供がいる我が家はどうしても洗濯物の量が多くなるので（特に冬場はかさばる衣類が多くなる）、詰め込んで洗っても大丈夫なセスキプラスはとても楽ちんです。アクリル製の毛布も洗濯機で洗ってみましたが、すすぎ1回でも充分キレイに洗えました（石鹸で毛布を洗うとすすぎが大変だったのでこれは嬉しい発見でした）。ただ、子供たちが汚して帰ってくる靴下の黒ずみや体操服の泥汚れなどは、セスキプラスだけでは落ち切らないです。事前に予洗いするなど、やっぱり石鹸パワーが必要ですね。

●スタッフH
これまでは過炭酸ナトリウムで洗っていましたが、セスキプラスは水温にほとんど気を使わなくて良いのが楽です。これからはセスキプラスをメインに使っていきますが、過炭酸ナトリウム洗濯は洗濯槽の黒カビ防止に効果ありなのでこれはこれで残してゆく予定です。普通、洗い時間が長いと合成繊維ものは再汚染で色がくすむことも多いのですが、セスキプラスだとそれがかなり抑えられます。使用量が少ないので詰め替え用容器もスリムタイプに変更。洗濯機周りが少し広く使えるようになりました。