着物の虫干し

着物の虫干しは風通しの良い屋内で

絹の着物に湿気は大敵。湿気はカビを呼ぶからです。特に、仕舞いっぱなしのことが多い礼装類は湿気が溜まりやすく、要注意です。

干す時期

着物の湿気を払うには定期的にタンスから出して干すとよいでしょう。干す時期は、梅雨明け(土用干し)や秋の晴天時(虫干し)、空気がカラカラに乾く1~2月(寒干し)などが適しているとされます。

一年に何度も干せないなら、梅雨のなごりや秋雨の心配をしないですむ寒干しがお勧めです。

よく晴れた日に干す

虫干しには、しばらく晴天が続いて乾燥注意報が出るような日が適しています。

長時間干す必要はなく、屋内で半日くらい干せば十分。特に袷(あわせ)の着物は何日も吊しっぱなしにすると裾が垂れたり袋のようになったりする可能性もあります。

干し方

風通しの良い部屋で陰干し

干している部屋は、風の通りを良くするため窓か戸を2箇所以上開けましょう。

色あせの原因になるので直射日光に当ててはいけません。夕方は空気が湿ってくるので午後3時ごろには片付けましょう。

着物の掛け方

掛けておく道具は衣桁(いこう)と呼ばれる衝立のようなものが理想です。

たとう紙から出した着物を、シワにならないよう気をつけながらふわりと掛けて干します。いわゆる「誰が袖(たがそで)文様」のように掛けておくと袖がぶらぶらせず、袖の付け根も傷みにくくなります。

衣桁がなければ細い物干し竿やロープを部屋の上の方に渡してそこに掛けたり、シンプルな形の室内干しスタンドを利用することもできます。

カビの処置

直ぐに専門家に依頼

虫干しの際にカビを見つけたら、直ぐに専門店に任せます。カビた着物はたとう紙に包んだまま、他の着物から離しておきましょう。

カビの生えた着物はできるだけそっと扱ってください。派手に動かすとカビの胞子が飛びちり、他の着物に被害が拡大する可能性があります。

「応急処置」は厳禁

お店に出す前に「自分で応急処置」は絶対にしないでください。

素人が絹の着物に水や洗剤を使うと却って汚れが強く染みつくことがあります。そうなってからでは元通りにするのが非常に難しくなります。

カビ予防の楽しい方法

一番のカビ防止策は、実は「着る」ことです。着ることで着物に風が通り、溜まった湿気が払えるので虫干しは不要になります。

脱いだ後は、特に汚れが付いていなければ柔らかい洋服ブラシでホコリを払います。その後、体から出た湿気を払うため1日干してから仕舞います。

お洒落が楽しめると同時にお手入れもできる、一石二鳥な方法です。

2019年12月改訂(2011年12月初出)

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