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アルカリの環境への負荷

アルカリは「無機物」

アルカリ剤は、自然界にそのままの形で存在することができる「無機物」です。一方、石鹸や合成洗剤は、油脂や石油などの「有機物」から作られます。

無機物は「生分解」不要

「有機物」は、環境中に放出されると必ず、「生分解」という過程を経て無機物にまで分解されます。一方、無機物であるアルカリ剤は、最初から生分解が終わっているのと同じ状態です。

ここが、石鹸/合成洗剤と、アルカリ剤が大きく違う点です。

生分解とBODについて

環境中で生分解を行ってくれるのは、水中や土中に住む微生物です。

彼らは生き物なので酸素を消費します。有機物を分解するといった活動をする際にも酸素を使います。

ある物質を分解するためにその微生物が必要とする酸素量のことをBOD(biochemical oxygen demand 生物化学的酸素要求量)と言います。

有機物の量が多すぎるとどうなる?

有機物を含む排水が河川などに流れ込むと、水中の微生物がそれを分解します。微生物が沢山の有機物を分解するためには、それに見合う量の酸素が必要です。

でも、有機物の量が多すぎて水中の酸素量が間に合わないことがあります。そうなるとその水域の生物は窒息死してしまいます。

生分解ができなくなり環境悪化

生物のいない水域では生分解もできません。そこに流れ込んだ有機物はそのまま腐ってヘドロ化したり、有害なガスが発生したりします。水質は悪くなり、そのためますます生き物が寄りつかないという悪循環に陥ります。

BOD値が高いものは環境に良くないといわれるのはこのような理由からです。

アルカリで洗うと環境負荷が減る

その点、アルカリ剤は生分解不要なのでBODも気にする必要はありません。ですから有機物である界面活性剤よりも環境に負荷を与えにくいわけです。

洗濯や掃除、皿洗いなどの汚れ落とし作業全般にアルカリ剤を積極的に取り入れることは、有機物である石鹸や合成洗剤の使用量を大きく減らすことにつながります。その結果、環境保全の一助ともなりえます。

無制限に使って良いわけでは無い

ただし、どんなに大量に使っても環境に影響を与えない物質というものはこの世にはありません。

大地そのものである土砂ですら、大量に河川や湖沼に流れ込むと汚濁を引きおこして生態系を狂わせることもあります。アルカリ剤も「BODの心配がないからどんなに使っても平気」などと考えず、節度を持って使うことが大切です。

2022年2月改訂

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